大腸がんの内視鏡検査のすすめ
大腸がんの内視鏡検査は、最も優れた大腸がん検査と言えます。
「大腸がん検査」の項で述べたとおり、そのほかの大腸がん検査は、特に陥凹型や平坦型の大腸がんの発見にはほぼ無力で、唯一それがかのうな「カプセル内視鏡検査」は、内視鏡を飲み込むという一見合理的で負担が少ないように思える検査法ではありますが、その実、内視鏡と共に大量の水を飲まなければならないため、これが意外なほど苦痛を伴うという欠点があります。
それに比べ、肛門から内視鏡を挿入して、「全大腸検査」が行なえる内視鏡検査は、厚生労働省の「大腸がん検診ガイドライン」でも、大腸がんの精密検査の方法として推奨されています。
これは特に、バリウムを注入してレントゲン写真を撮る検査法の非合理性と比較したとき、大腸がんの内視鏡検査が優れていることを指摘したものです。
さて、大腸がんの内視鏡検査は、肛門から管(チューブ)を挿入するため、ある程度の痛みを伴います、。
また、腸内を検査する時間がかかりすぎると、この苦痛はそれだけ長時間にわたることにもなり、検査医師の技術が問われる点になります。
そこで、大腸がんの内視鏡検査を受けるときは、少なくとも1000例以上の内視鏡検査の実績がある医師を選ぶべきです。
経験や技術の乏しい医師が大腸がんの内視鏡検査を行なった場合、時間がかかるだけでなく、時間をかけた分、内視鏡は大腸内をあっちへ行ったりこっちへ行ったりするうちに、大腸粘膜に傷をつけてしまう場合があります。
ときおり、大腸がんの内視鏡検査をしたあとに、強い腹痛を訴える患者がいます。
これは、大腸の内側に傷がついてしまい、それが傷んでいるのですが、最悪の場合は大腸に穴をあけてしまい、腹膜炎を起こすという事故も皆無ではないのです。
デメリットはありますが、それは技術の高い医師を選べばよいことで、大きな問題ではありません。
大腸がんの内視鏡検査のメリットは、まず陥凹型・平坦型大腸がんの発見が可能であること、全大腸の検査ができることですが、中でも最大のメリットと言えるのは、内視鏡で見つけた大腸がんを、そのまま切除してしまうことが可能である点です。