ストレスと大腸がん
ストレスと大腸の関係は密接です。
ストレスというと、「精神的なプレッシャーや煩いごと」といったニュアンスで使われることが多いですが、もちろんそれも、大腸に悪影響を与える立派なストレスです。
ストレスとは、本来、「環境の変化に身体を適応させるための反応」のことですが、要するに、「環境変によって身体が起こす変化」のことと考えればよいでしょう。
さらに要約すれば、ストレスは、「緊張状態」のことで、慢性化すれば肉体にも精神にも悪影響を及ぼすと言われているものです。
では、ストレスが大腸に与える影響とは何でしょう。
それは、「免疫力の低下」です。
緊張すると下痢をする、イライラして便秘になる、といったケースは間々見られます。
これだけを見ても、ストレスが大腸にダイレクトに悪影響を与えていることが見て取れるでしょう。
つまり大腸は、精神の影響を受けやすい、きわめてデリケートな臓器であるわけです。
ストレス社会と言われる昨今、ストレスを癒してくれる自然や人間味の乏しい大都会で、ストレスにまみれ、やがて大腸がんにかかる哀れな人たちが増えつづけています。
とにかく、ストレスが強いと、がんにかかるリスクが高まることは確かとされています。
ラットによる実験でも、ストレスをかけられたラットには、そうでないラットに比べて明らかにがんの発生率は高いものでした。
同様の現象は人間にも観察され、自由奔放に暮らす人よりも、多くの制約に耐えて生活する人のほうががん発生率が高かったという報告があります。
つまり、ストレスによって免疫力が低下するのは、私たちの身体に毎日300以上発生していると言われるがんを、端から壊滅させているのが免疫システムなのですから、そのシステムが狂う、または疲れ果てて役に立たなくなってしまうことを示しています。
つまるところ、ストレスが増えれば、大腸がんに限らず、がんの発生リスクは高まります。
語弊を畏れずに言えば、「心の弱い人はがんにかかりやすい」とも言えるのです。
ただその中で大腸は、ストレスによって病変を起こすことが多く、特にストレスに弱い器官と言えます。