大腸がんの内視鏡検査
大腸がんの内視鏡検査は、恐くありません。
確かに、傷みなどある程度の苦痛は伴います。
しかしながら、それでは大腸がんが進行して、あちこちを切り裂いてそれでも治らず、死の恐怖と末期がんの激痛を味わうほうが受け入れやすい、ということはないはずです。
まず、検査前夜は、消化のよいものを、午後8時くらいまでに摂り、翌朝は絶食しておきます。
そして検査前には、病院で下剤を飲み、ゴライテリー液という透明の液体を2リットル飲みます。
下剤が効いて何回かの排便があり、便が透明になったら検査開始できる状態と言えます。
肛門から内視鏡を挿入しますが、このときの痛みはほとんどありません。
問題は、内視鏡の腸内での動きです。
特にS状結腸は大きくループしていますし、大腸のそのほかの箇所も、まっすぐでない箇所が多々ありますので、ここを通すときにただ押し込むだけでは、痛みを生じてしまいます。
そこで、「軸保持短縮法」と言って、スコープの先端から空気を吸い込んで、腸をアコーデオン状に縮めて、まっすぐにしながら通していく方法が取り入れられてきています。
肛門から直腸にかけての約20センチの所には、特に大腸がんが発生しやすいので、特に入念に観察します。
次にS状結腸は、大きくうねっているので、入念に短縮しながら、傷をつけないように進み、盲腸に向かって進んでいきます。
この間10分程度、熟練した医師なら2分程度です。
そして、ポリープが発見された場合、それが正常な細胞が変化したものなのか、今後がん化するおそれのあるものなのかをチェックする必要があります。
従来は「生検」と言って、病変部を切り取り顕微鏡で調べましたが、今は「ピットパターン診断」と言って、その場で病変部を目視して判断する方法が用いられるようになっています。
そして、2センチ以上の比較的広範囲にわたる早期の大腸がんが発見された場合、その場で「ESD」と呼ばれる切開・剥離術で切除することが可能です。
また、陥凹型・平坦型の大腸がんが、見つかっても、早期がんなら内視鏡検査のときに切除してしまえば、お腹を切る必要もなく、大腸がんの内視鏡検査終了と同時に、大腸がん治療完了となります。