大腸がんの化学療法
大腸がんの化学療法とは、「抗がん剤」を使う大腸がんの治療法の一つです。
ただし、ステージIII期以降の大腸がんは「切除」が基本であり、化学療法はあくまでも補助的な治療法となります。
例外として、がんの切除手術が何らかの事情によってできない場合、延命などを目的として抗がん剤による化学療法が”メイン”の治療法になることもあります。
抗がん剤にはいくつかの種類があり、投与の方法も、静脈に打つ方法と経口投与の2つに大別されます。
抗がん剤すなわち化学療法の目的は3つあり、
1. 大腸がんの手術後に、リンパ節などへの転移や再発を防ぐ「術後化学療法」。
2. 大腸がんの手術後に、見落としたがんが転移、再発するのを防ぐ「全身化学療法」。
3. 大腸がんの手術前に、がんを小さくして患者さんお負担を減らす「術前補助化学療法」。
に大別されます。
また、どんな抗がん剤を使うかについては、その目的や患者さんの状況、また金銭面(保険適用外であるかどうか)も考慮して総合的に決めます。
ここで少しでも不安があったときには、迷わずにセカンドオピニオンを求めるべきだと思います。
わが国で使用が認可されていて、かつ生存期間の延長が認められたの抗がん剤の組み合わせと投薬方法は次のとおりです。
● FOLFIRI療法(5-FU・ロイコボリン・イリノテカンを持続静脈投与)
● 上記を注射(短時間静脈投与)
● FOLFOX療法(5-FU・ロイコボリン・オキサリプラチンを持続静脈投与)
● 5-FU・ロイコボリンを注射または持続静脈投与
● UFT・ロイコボリンを内服
● カペシタビンを内服
● TS-Iを内服
● XELOXを内服
上記はいずれも延命効果が認められていますが、さらに強力な延命効果をもたらす「分子標的薬」が注目されています。
上記のFOLFIRI療法とFOLFOX療法は、特に延命効果が高いとされていますが、これに分子標的薬「アバスチン」を併用すると、さらに延命期間が長くなることが分かりつつあります。
分子標的薬にはいくつか種類がありますが、いずれもその再々の特徴として、特定の分子だけを攻撃することができることです。
がん細胞の分子だけをピンポイントで攻撃できるので、きわめて効果的で身体への負担も軽いとされていますが、副作用が認められないわけではなく、肺がんに用いて肺炎を併発した例が報告されています。