大腸がんは遺伝するか
家族に大腸がんの罹患者がいると、大腸がんになる恐れは高まる、と言うことができます。
これは統計データによるもので、「大腸がんは遺伝する」と推測することができると言えます。
ただし、統計を見ますと、全部位のがんのうち5%が「遺伝するがん」とされており、大腸がんで言うと、5~7%の大腸がん患者の親などの家族に大腸がんリ感謝がいることがわかっており、「大腸がんのうち5~7%が遺伝したがん」ということになります。
結論すれば、大腸がんが遺伝すると見られるケースは確かにあるが、多くの大腸がんは「遺伝しない」と言うことができます。
一つ注目したいことは、遺伝性と見られる大腸がんには難病性が高いものが多いということです。
◆ 非ポリポーシス大腸がん
大腸がん全体の2~5%を占める、遺伝子の異常を修復する遺伝子の異常によって起きる若年性の大腸がんです。
50歳以前の若年で発症することが多く、女性の場合は子宮体がんなどが並存するケースが多いことなどが特徴です。
◆ 家族性大腸腺腫症
大腸粘膜細胞の分化や増殖を調節する遺伝子の異常によって発症します。
発症頻度は2万人に1人程度の珍しい病気で、大腸には100個以上の腺腫(ポリープ)が発生します。
10代から大腸粘膜にビマン性の腫瘍が出来ることも特徴のひとつです。
優性遺伝であるため、両親のいずれかがこの病気の因子を持っていれば、子に発症する確率は50%になります。
この病気の兆候が見られた子は、10代からの気長な観察、治療が必要となり、放置すれば、40歳までに50%、60歳までに90%の人が大腸がんになると言われています。
◆ 潰瘍性大腸炎
大腸粘膜にびらん性の潰瘍が出来る病気で、大腸がんに発展するケースも多い難病(治療には公費が充てられる)です。
腹痛と下痢が起き、下血を伴う場合もあります。
◆ クローン病
口から肛門までの消化管全体に炎症を起こす重い病気です。
腹痛、下痢、栄養障害などを引き起こします。
上記の潰瘍性大腸炎と共に「炎症性腸疾患」と呼ばれ、いずれも15~29歳という若年で発症するのが特徴です。