大腸がんの原因
大腸がんの原因は、まだ特定できていません。
胃がんのように、ヘリコバクター・ピロリ菌が原因であるとなれば、効果的な対処法も見つけやすいのですが、大腸がんのそのような特定の原因というものは、現在探している途中ということになります。
大腸がんは、ポリープががん化するタイプと、ポリープを経ずに腸粘膜ががん化して、陥凹型大腸がんという姿で奥にもぐりこむようにして進行するタイプとの2つに分けられます。
いずれにせよ、大腸がんが生活習慣と密接な関係があることは、ほぼ断定してよい状況にあります。
大腸がんの原因と考えられている主なものに、次の5つが挙げられます。
● 大腸がんの原因1 肥満
肥満は脂肪過多、つまり体のあちこちに過剰に脂肪が蓄積される状態ですから、大腸にも大きな負担をかけ、腸内細菌のバランスを崩す結果にもなります。
ただし、厚生労働省の発表によれば、肥満は男性においては大腸がんリスクの増加につながるが、女性にはそのような傾向は認められなかったという調査結果が見られます。
また、肥満になると膵臓からインスリンが過剰に分泌され、このインスリンが大腸がんの原因と言われています。
インスリンが過多になると細胞が生まれ変わる速度が増すので、その過程でがん化する細胞が生まれる確率が高まるからだと言われています。
● 大腸がんの原因2 高脂肪・高エネルギーの食物
炭水化物や食物繊維の摂取量が不足すると、食物が大腸内にとどまる時間が長くなり、大腸がんのリスクが高まると言われています。
国立がん研究センターの調査によれば、ハム、サラミ、ベーコンなどの貯蔵肉の摂取量が多い人は、そうでない人に比べて大腸がんにかかる確率が増すとされています。
● 大腸がんの原因3 運動不足
運動不足になると、大腸の動きは鈍くなることが知られています。
大腸の動きが鈍いと、私たちが宿命的に出会うさまざまの発がん性物質との接触時間も長くなります。
国立がん研究センターの調査によれば、運動不足の男性は、積極的に運動する人に比べ、大腸がんによる死亡率が0.57倍になることが指摘されています。
このデータはたまたま男性ですが、女性に当てはまらないと考えられる要因は見当たりません。
● 大腸がんの原因4 タバコ
タバコの煙に含まれる有害物質は優に200を数えます。
国立がん研究センターの調査でも、喫煙者が大腸がんで死亡する確率は、非喫煙者の1.4倍ということになっています。
● 大腸がんの原因5 酒
アルコールを肝臓で代謝する際には、きわめて多くのエネルギーが必要となり、そのために、細胞は多くの酸素を必要とします。
私たちが呼吸によって得る酸素を取り込んだ貪食細胞などは、一酸化窒素を排出しますが、これが活性酸素と結合して、きわめて強力な「フリーラジカル」を生成するのです。
アルコールの過剰摂取による消化管系のがんの発生リスクは高いことが報告されています。