大腸がんの腹腔鏡手術
大腸がんの腹腔鏡手術は、内視鏡では切除できない大腸がんに対応するものです。
腹腔鏡手術か開腹手術かという選択を迫られる段階でもあるわけですが、判断基準は大腸がんの大きさ、深達度などを総合的に見て判断します。
大腸がんの腹腔鏡手術は、お腹を少し切開して、腹腔鏡を挿入して行ないます。
開腹手術よりも身体への負担が小さいことが最大の特長ですが、開腹手術に比べて手術時間は長くなります。
ただし、腹腔鏡手術の技術は進歩が著しく、開腹手術と比べてその精度は劣らないものになっています。
大腸がんの腹腔鏡手術では、開腹手術と同じように全身麻酔をかけます。
そして、腹腔鏡をおへその辺りから挿入し、高性能カメラで大腸を観察しながら、適当な別の場所から挿入した鉗子を使って行ないます。
腹腔鏡のカメラは高性能なので、開腹して目視するよりも患部が見やすいという長所がありますが、レンズが曇るとかえって見づらいという裏面もあります。
かつては、早期の大腸がんの治療に用いられた腹腔鏡手術ですが、現在では技術が進歩し、かなり進行した大腸がんの手術も、腹腔鏡手術で行われるようになりました。
早期の大腸がんでも、大腸粘膜下層に浸潤した大腸がんの場合、リンパ節に転移している場合が多いのですが、こうしたケースにも普通に腹腔鏡手術が用いられるようになりました。
さらに大腸がんが進行して、粘膜下層の下の筋層から漿膜へと深達度を増す大腸がんにも、腹腔鏡手術は行なわれています。
大腸がんの腹腔鏡手術は、どんどん進化を続けています。
腹腔鏡の小型化やモニタ画面の三次元化、触感センサーなど手術器具の進化が見られます。
さらには、鉗子を通す穴を数箇所あけていた従来の方法を改め、「単孔式」と言って穴を1つしかあけない方法もあります。
さらに進化して、内視鏡を口、肛門、膣などから挿入する「NOTES」と呼ばれる方法もあります。
お腹にまったく穴をあけないので、腸壁の感染や癒着を防ぐという利点もあります。