大腸は第二の”脳”

大腸は、脳とは関係なく、独自に指令を出す機能があります。
この働きを「脳腸相関」と呼びます。

大腸(結腸)の蠕動運動は、脳の指令によらず腸が独自に判断して行なうものです。

また、小腸から消化物が送り込まれると、大腸は脳の指令を待たずに腸液を分泌します。

食中毒にかかると下痢や嘔吐が起きることが多いですが、これも腸が独自に判断してそうした反応を引き起こすのです。
有害物質の侵入にはときに火急の対応が必要で、脳からの指令を待っている間に脳がやられてしまうかもしれませんし、そうまでならなくとも、身体が不可逆的なダメージを受ける畏れも十分にあるからです。

このように、大腸には、脳のように”考える”機能が備わっていることが知られています。


脳腸相関を端的に表す現象として、「過敏性腸症候群」があります。

過敏性腸症候群は、便秘型と、便秘と下痢を交互にさて、繰り返すタイプとがありますが、原因はストレスによる自律神経の異常と言われています。

自律神経は、私たちが意識しなくとも身体のあらゆる調整をする仕組みのことです。

過敏性腸症候群は増加の傾向にあり、罹患者は約1200万人を数え、特に20~30代の若い人たちに増加傾向が顕著です。

脳内物質「セロトニン」は、脳内では受けたストレスを緩和する働きをしますが、じつは大腸にもこのセロトニンがあって、大腸内のセロトニンは、ストレスを受けると大腸に不具合を起こします。

大腸内のセロトニンは、じつは蠕動運動を司っているのですが、ストレスを受けると、この蠕動運動が過剰になり、便秘になったり逆に下痢を起こしたりするのです。


さて、直腸の周辺は、「骨盤内自律神経」に覆われています。

骨盤内自律神経は、排便、排尿と性機能を調整しています。

自律神経がリラックスしないと、排便は行なわれにくくなります。
緊張状態は便秘を引き起こしやすく、休息を十分にとり、リラックスすると快便となりやすいのです。

なお、この直腸にがんが出来、切除の必要に迫られた場合、自律神経の切除を避けられないケースでは、排尿障害や性機能障害が起きる場合があり、そういう意味でも大腸がんは恐ろしい病気と言えます。

このように、大腸周辺の自律神経は、脳ではなく大腸がその調整を行なっているわけです。


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