便秘と大腸がん

じつは、「便秘が大腸がんの原因とは言えない」と解釈できる調査結果があります。
1993年から国立がん研究センターが行なっている調査によれば、「便通が日に1回以上」の人と、「週に2~3回」という人との間に、大腸がん罹患の頻度に差は見られなかった、というものです。

さらに、「便秘と下痢を交互に繰り返す」という人は、大腸がんにかかる危険度が増すという結果も同時に報告されており、「大腸がんの原因は、便秘と言うよりも下痢である」と言えなくもないことがわかりました。

ただし、そもそも「便秘と下痢が交互に起きる」のは過敏性腸症候群の特徴であり、便秘と下痢を個別に捉えるのではなく、やはりそれが大腸の不具合によって起きているものである以上、「便秘は大腸がんと無関係」と断定するのはいかにも危険な考えです。

そもそも、大腸がんの原因ははっきりわかっておらず、便秘が大腸がんの原因であると推定しうる事象は数多く観察されています。


そもそも、「どのくらいの頻度で便通があるか」だけでは、便秘かどうか断定できないのです。

食生活は十人十色で、そもそも食べる量も違います。
食物によっては、消化に72時間くらいかかる場合もあり、「3日に1回程度の便通」が、必ずしも便秘とは言えないわけです。

便通が何日もなく、腹痛や嘔吐を起こしてしまう場合は、便秘と判断できます。


便秘には、いくつかのタイプがあります。

● 結腸性便秘
結腸の蠕動運動がうまく引き起こされないため、便が直腸まで送られてこないタイプの便秘。

● 弛緩製便秘
大腸の動きが慢性的に緩慢で、便の移動が遅いためどんどん固くなってしまい、結果排便困難となるもの。
女性の便秘のほとんどがこのタイプで、産後に起こることも多いタイプの便秘です。

● 直腸性便秘
便は直腸まで来ているのに、直腸の粘膜が鈍感で、便意を催さないタイプの便秘。

● 痙攣性便秘
過敏性腸症候群に見られるタイプ。
ストレスにより結腸が過剰に収縮して、便の通りが悪くなります。
強力な便秘薬を服用している人に起きる場合もあり、この場合は下痢と交互に起きます。


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